以前の記事で、現在の物流への懸念を素材メーカーの視点で語らせて頂きましたが
今日、会社に入ったとある運送会社からの通知に、出荷業務に関わる部署の
A子は「何考えとんよ!」と怒りを露わにし
B男は「うわぁ… 強気じゃなぁ」と呆れて、
私は日本の物流が終焉なのか、転換期なのか、どちらの方向性にしても分岐点に差し掛かっているのを感じました。
運送会社からの通知はエクセルで作られた表で、記載された住所への配送を、
出荷前に要相談・配達日数制限・最寄り支店配達止め或いはチャーター対応・冬季期間中の配送不可・問答無用の配送不可として取扱いを一方的に制限をかけるという宣言でした。
「出荷前に要相談」は相談の結果、集荷を受け付けない可能性がありますが、これまで通り配達してくれる可能性が残っている住所。
「配達日数制限」は、あまりにも配送件数が少ないため1度にまとめて配達するように、週1回だけ配達日にするという扱い。
「最寄り支店への配達止め」は、納品先に近い運送会社の支店までは中継して届けるけど、そこから先は配送しないので取りに来いの意。
「チャーター」は配送するための配車が恐らく足らないため、配達を下請けに出すか、あるいは集荷から配送まで1台で行う(=本当の意味でのチャーター)か、いずれにしても配送料金はバカ高くなるよの意。
「冬季期間中の配送不可」は、雪の多い地域は冬季は集荷すら受け付けないの意。恐らく今年の北陸の大雪で相当ダメージを受けたのかと。
「配送不可」は説明するまでもなく。。。
ホントかウソかわからないが、以前に運送会社からあった話では、例えば雑居ビルやマンション、大型商業施設やテーマパーク内に入っている会社やテナントへの配送をする場合、その管理者が入場に制限を掛けたり、所によっては入場料を徴収するらしく、荷送人や受取人にその入場料を請求するわけにもいかず、運送会社側が負担していたそうです。
「こんな苦労してますよ」って後出しされても、何で今まで言わなかったの?とこちらは疑問に思うだけです。
そんな運送会社の卑屈な姿勢を取るようになったのも、
私は流通の中での強者/弱者の関係は、完全に運送会社が弱者扱いされてきた結果だと思っています。
ジャストインタイムが当たり前な産業界、そこからの問屋機能の崩壊、負担が増えるのは運送会社、だけど運賃値上げは認められない…
運賃が上がらないからドライバーの賃金が上がらない/サビ残が横行する、そんな職場に誰が仕事に就こうとするのか…
と、ここまで運送会社側をフォローしましたが、
今日の通知もそうだけど、最近の運送会社の対応はまぁ酷いもんです。
届いたFAXには社印も責任者名もないです。これはどの運送会社にもよくあるパターンで、本社側は指示だけし、顧客への通知や対応の責任を支店/営業所まで下ろします。そのため、この手の通知やトラブルがあった時に求める報告書には、社印はまず押されていません。社印が押されているのは見積書くらいです。
また、ビジネス状の文書には送付状が添えられ、特に交渉では「恐縮ではございますが…」と控えめな文章が書かれているものですが、今回は一方的な配送制限リストに手書きで「こうなります。」くらいの内容しか書かれてない!電話の一本も、営業が面談にきて説明もない!
いや、キツイ状況なのは分かるけど、最低限の礼まで欠いてしまうと不利になることばかりじゃない?
問題の配送制限リストには、地域としての指定だけでなく、企業や施設を名指ししているのもあり、「これってココに説明済みなの?」「まさか私たち送り主から説明しろってこと?(恐らくそう)」って状況もあって、こちらは自分たちの顧客に影響がないかリストの内容確認に追われました。
この運送会社の強気の対応は、物流業界の限界の現れだと思います。
かつてのジャストインタイム神話から、問屋が在庫を持たなくなった商風習が、大手流通企業の隆盛が、今の日本の物流問題の背景にあるのだと私は思っています。
恐らく、今の景気の恩恵は、物流会社まで賃金に転換される形では降りてこないだろうし、そうなると働き手が集まることはないため、配送制限が解消されることはないでしょう。
解消に向かうには、
資金力を持つ大手流通が配送事業を強化しますます強大な力を持つようになるか、
運賃上昇を皆が理解し、運送会社が体力をつけるようにするか、
再び問屋が在庫を持つようになり物流負担が分配するようになるか、
いずれかになるような気がします。
力が一極集中するよりも、願わくば皆で痛み分けする選択がいいのではと思うこの頃。
今日はこのあたりでノシ