ひなはづチャンネルの楽屋

YOUTUBE、動画編集、闘病生活。広く浅く、なんでもござれの雑多なブログ。

プラスチックに関する食品業界の"縛り"と周辺環境のギャップへの違和感

私は食品に関係する職場に勤めています。適用法令や業界の指針、ユーザーからの食品の品質・安全に関する要求は年々厳しくなっています。消費者の立場に立つと、当然いいことと受け止めれます。メーカーの立場に立つと、作るモノに対する管理コストが増加しているのが実情ではないでしょうか。最近の値上げラッシュに対して消費者の皆様には、その辺りを理解して頂けたらありがたいなぁと思っています。

 

お金の話はさておき。

 

 

食品業界を取り巻くプラスチックに関することで、業界と周辺環境にギャップを感じている私です。

そのギャップは何かというと、メーカー側は衛生面を担保するためにプラスチック製品の使用を求めている点があるのに対し、世界的にはプラスチック排除の動きがある点です。

具体的に何かというと輸送用のパレットに使われる素材への要求です。

www.google.com

大きいモノや大量にあるものを、フォークリフトでまとめて移動できるようにするための運搬ツールです。リカーショップやドラッグストアなどで見かけることが多いと思います。

 

パレットは木製やプラスチック製が主流です。最近ではスチール製や紙製なども台頭してきたみたいです。

食品メーカーでは、木製パレットによる搬入を受け付けない会社が多いです。私の勤め先も原則その対応をしています。

それはなぜか?

 

木製だと破損や腐敗の可能性が高いためです。虫が住処とする場合もあります。食品工場に木製パレットを持ち込んだ場合、異物や汚染の原因を持ち込むことになるため、原料の受け入れ時点から木製パレットを受け付けない=プラスチックパレットによる納入を供給者に求める・・・というのが食品業界の通例です。

※リサイクルパレットといって、廃プラスチックを再利用したプラスチックパレットもありますが、それすら受け付けない企業まであったりします。

 

外国に輸出入する時には木製パレットは燻蒸処理していることが要求されている国もあります。病原菌を運ぶことによって受け入れた国にない病気が蔓延したり、虫などもくっ付いていると他国で繁殖した場合は生態系を壊す可能性が考えられます。それらを回避するため木製パレットは燻蒸処理が’要求されています。

貿易上の制限がある点から言っても、食品業界が木製パレットを敬遠したいことが理解できると思います。

 

 

ところで、

近年、「マイクロプラスチック」が問題となってきました。

ja.wikipedia.org

プラスチック素材は紫外線で劣化します。ひと昔前の駐輪場の屋根とか、塩ビ製の波板が良く使用されていると思います。長年使用していると脆くなって、台風とか来た時にはバキバキバキーッと剥がれてしまってるのをよく目にすると思います。あのような感じでプラスチック素材は劣化していくと最終的には粉々になってしまいます。これら微小になったプラスチックを「マイクロプラスチック」と呼んでいますが、、、

プラスチックは生分解しません。つまり、自然に帰らないのです。そのためwikipediaの説明にあるように、ごく小さなプラスチックが最終的に海に流れ込み、生態系に影響を与えているのではないか・・・と言われています。

 

「マイクロビーズ」というものをご存知でしょうか? 洗顔剤にスクラブが使われている製品がありますが、そのスクラブは近年まで天然性のものではなく、プラスチック系素材が多く採用されていました。生分解しないため、ゴミのまま残ってしまいます。アメリカの五大湖で大量のマイクロビーズが蓄積されたことをキッカケに、アメリカを発信源として、化粧品業界は世界的にプラスチックビーズの使用を全面禁止に向かっているという経緯もあります。

 

そこで、脱プラスチックに向けて様々な業界が動き始めました。生分解性プラスチックの開発を進めたり、これまでの製品を生分解する物質に代替えしたりしています。

www.bbc.com

化粧品業界でも、スクラブ剤は天然由来のものを使用したり、生分解する素材でスクラブを製造したりと、マイクロプラスチックをまずは減らしていこうとする動きが確実にあります。世界は良い方向に向かっていますねぇ。

 

 

それで、ですよ。

なぜ物流におけるパレットに関してはプラスチックでなければNGとされ、直接口にするストローが腐敗や劣化しやすい紙への置き換えがOKなのか、、、というダブルスタンダートのような状況に違和感を感じているのです。

食品への安心・安全への取り組みは必要なのは理解できます。ならば、パレットもプラスチックなわけですから、代替素材への切り替えが推進されてもいいはずです。

しかし、大手メーカーからの要求は「木製パレットNG」というフレーズばかりです。原料供給者である川上側には衛生面強化の一環ダーとかでプラスチックパレットを要求し、店頭に並ぶものは腐敗するかもしれない紙製でOKとか、、、自分たちの都合のいいことばかり話題に取り上げられているのが気にくわないのです。

※ス○バをはじめとした、生分解性素材に代替えを推進しているユーザー(=販売者)批を判しているわけではありません。

 

物流資材メーカーの中には、紙や鉄性のパレットを製造・販売している企業が何社かあります。大手メーカーや大手流通には、環境配慮に対して業界をリードしていく動きを見せて欲しいです。