ひなはづチャンネルの楽屋

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自己免疫性肝炎の治療の進み方 治療中に注意すべきこと

この記事では、指定難病<自己免疫性肝炎>で入院した実体験を元に、自己免疫肝炎の治療がどのように進められるのか、また治療中の注意点を紹介します。

サムネイル 自己免疫性肝炎 治療 治療上の注意

 

こんな方にこの記事はオススメです!

・自己免疫性肝炎、急性肝炎を患ってしまった方やそのご家族

・ステロイドで病気を治療をされている方

 

 

目次

 

 

自己免疫性肝炎の治療

治療の目標は、血液検査による肝機能項目のAST(GOT)やALT(GPT)、自己免疫IgGの正常化です。

 

免疫抑制剤「プレドニゾロン」

用いられる薬は、副腎皮質ステロイド「プレドニゾロン」です。自己免疫性肝炎は、自己免疫機能が暴走して肝細胞を攻撃・破壊してしまう病気で、プレドニゾロンで自己免疫機能を抑えることで肝細胞への攻撃を抑えていきます。

基本的には内服治療が選択されますが、重症患者に対して効果を得るためや副腎皮質ステロイドの総投与量を減らす方法として<パルス療法>と呼ばれる点滴注射治療が選択される場合もあるようです。

 

また、プレドニゾロンの効果が不十分な場合や、副作用で使用できない場合、あるいは早急に肝機能を正常値に下げたい場合は、アザチオプリンや6-MPといった免疫抑制剤を使用・併用することがあります。

 

発症時にはプレドニゾロンを30~40mg/日(病状が重い場合には50~60mg/日)内服し、血液検査や肝生検(肝細胞を採取して精密検査)の結果を確認しながら、段階的にプレドニゾロンの量は5~10mg/日まで減らしていきます。

 

プレドニゾロンは退院後、約2年間は飲み続けることになります。毎日内服し、定期的に血液検査やエコー検査を受けて、肝機能に異常が出てないか経過観察を続け、最終的には内服を止めれるのか判断されます。

 

私の場合は、プレドニゾロンの服薬量の変遷は、

 入院時~2週間目  40mg/日

 2週間後~4週間目 30mg/日

 4週間後~     20mg/日

という日程で、4週間目の血液検査の経過を見てからの退院となりました。

 

 

胆汁酸製剤「ウルソデオキシコール酸」

自己免疫性肝炎における胆汁酸製剤(ウルソデオキシコール酸)の有効性は確立されていないようですが、胆汁酸製剤単剤治療で AST(GOT)、ALT(GPT)が基準値内になる場合や、併用することでプレドニゾロン投与量を少なくしたりすることができる場合があるため、ウルソデオキシコール酸の内服が選択される場合があります。

ウルソデオキシコール酸は、胆汁の分泌を促進し胆汁の流れを良くして、コレステロール系の胆石を溶かし、肝臓を保護することを目的とします。

 

私の場合はプレドニゾロンとウルソデオキシコール酸の併用でした。ウルソデオキシコール酸は朝昼夕の3回、入院時から内服を続けています。

 

 

 

自己免疫性肝炎の治療で、主に使われる薬を紹介しました。

その他私が併用中の薬を含め、自己免疫性肝炎の治療に関わる薬の詳しい情報は、また別の記事でまとめさせて頂きます。

 

 

 

 

治療中の注意点

絶対に自分の判断で服薬を中断しない!

自己免疫性肝炎が再燃する場合の最も多い原因は、プレドニゾロンの服薬を中止・中断することが挙げられます。プレドニゾロン(ステロイド)は副作用が多いことで知られているため、名前を耳にするだけで拒否反応を示す人も多いと思います。しかし、医師は患者の様態を診て、専門知識をもって的確な治療を施してくれるはずです。自分の勝手な判断で服薬を中止してしまうと、治る病気も治らなくなってしまいます。

医師の指示に従った、確実な治療を進めるようにしましょう。

 

 

感染症に注意!

プレドニゾロンの服薬によって、意図的に自己免疫機能を抑制させるため、自己免疫性肝炎の治療中は、体の感染症に対する抵抗力が弱まります。「外出してはダメ!」というほど意識し過ぎるまでではありませんが、外出する場合は人が密集するような場所を避け、マスクを着用し、帰宅したら手洗い・うがいをするなど、感染症対策をしっかりしましょう。

 

※新型コロナウィルスのことが気になりますが、こちらの報告には

免疫抑制薬を服用している患者は新型コロナウイルスに感染しやすい可能性はあるものの、重症の肺炎を起こすリスクが高いという報告はない。

従って、自己免疫性肝炎(AIH)などのため現在ステロイド、アザチオプリンなど免疫抑制薬を服用中の患者はそのまま服用を継続すべきであり、新型コロナウイルス感染およびその結果としての肺炎の重症化を恐れるあまり免疫抑制薬の減量を行うべきではない。

と記載されています。今までと同様に感染対策をしっかりし、上述のとおり、治療計画に従って治療を続けましょう。

 

 

抜歯や出血が伴う手術の時は相談を!

プレドニゾロンの服薬中に、副作用である骨粗鬆(しょう)症に対する薬<ビスホス
ホネート製剤>が使用されていることがあります。※私も使用しています

この薬を服薬中にに抜歯などの歯科治療を行うと顎骨壊死(あごの骨に炎症が生じ、さらに壊死する)という副作用が起こりうることがあるらしいです。

また、自己免疫性肝炎から肝硬変まで進んだ人では、血小板数が減少していることが多く、出血の原因になるので、他の病気やケガで手術をすることになった場合は、免疫抑制治療中であることをしっかり医師に相談するようにしましょう。

 

 

献血はできない場合がある!

献血可能

ウルソデオキシコール酸を当日に内服していない場合、プレドニゾロンについては3日間以上内服していない場合には、献血は可能です。

献血不可

アザチオプリンを内服している場合には、献血はできません。

 

一般に自己免疫性肝炎の治療中は、献血は避けた方がよいでしょう。

 

 

受けてはいけない予防接種がある!

予防接種不可

免疫抑制剤による治療中は、生ワクチン(BCG、経口生ポリオ、麻疹風疹混合、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、黄熱)については禁忌とされており、接種を受けることができません。

要相談

不活化ワクチン(A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、破傷風、インフルエンザB型、肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス)については、免疫抑制剤を内服中というだけでは禁忌になっていませんので、医師に相談しましょう。インフルエンザワクチンやB 型肝炎ワクチンについては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤の内服中でも効果があるとの報告があるようです。

 

インフルエンザ流行のシーズンになり予防接種を受けたい時は、免疫抑制治療中であることを医師に申告して予防接種に望むようにしましょう。

 

 

妊娠中は服薬を中止する場合がある

海外の報告で「妊娠診断時に内服していた副腎皮質ステロイドやアザチオプリンについては胎児への影響はない」とされている一方、日本では妊婦へのアザチオプリン及びウルソデオキシコール酸の使用は禁忌になっています。したがって、自己免疫性肝炎の免疫抑制治療時の妊娠中は、これらの薬を中止する判断がなされます。

副腎皮質ステロイドは、動物試験で胎児に奇形が生じることや、新生児に副腎不全を起こすことがあるため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ服用することとされています。

 

妊娠中の場合にも、自分の判断で服薬を中止したりせず、他の病気も含めて産婦人科医に申告して治療の判断をしてもらいましょう。

 

 

健康的な食事と適度な運動を心がける!

自己免疫性肝炎患者に食事制限は特に設けられておらず、また特有な食事療法もありません。したがって、進行した肝硬変でなければ、一般の人と同じ<バランスよく適度な摂取カロリーの食事>を摂ることが重要です。

しかし、副腎皮質ステロイドを多く服用している時は、副作用で食欲が増加する傾向があるので、食べ過ぎには注意です。

 

そして、適度な運動は体に良い効果が期待できるとのことです。
運動の強度は、息切れしないで楽である(汗が出るかでないか)と感じ、次の日に疲れが残らない程度は効果的であると言われています。

ただし、治療中は体調の変化も通常時と違って波が激しいと思いますので、体調が良くない場合は、無理をせず運動を控えるようにしましょう。

 

 

 

まとめ

○自己免疫性肝炎の治療は免疫抑制剤(ステロイド)を主に使用する。

○服薬の中止は勝手に自己判断せず、医師と相談すること。

○他の医療行為を受ける時は、免疫抑制治療中であることを申告すること。

○健康的な食事と適度な運動を心がけること。

 

自己免疫性肝炎は、意図的に自己免疫機能を抑制させる治療法がとられるとともに、免疫抑制剤の中断が病状悪化の主な要因にもなっているため、自分で勝手な判断をせず、体調の変化や治療方針に不安を感じた時や、他の医療行為を受ける時は、必ず医師に相談しましょう。

長期間の服薬にはなりますが、日頃は健康的な食事と適度な運動を心がけ、完全寛解に向けてがんばりましょう!

 

 

 

【参考URL】

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